うちで制作する眼鏡と、低価格で売られている眼鏡は何が違うの?
このような御質問をよくいただきます。
そんな時は「手にすればわかります」という非常に抽象的な表現で、
御回答を差し上げます。
そんなのズルいなんて分かっております・・、
でもそれくらい言葉で説明することが難しいです。
無い頭を使って、出来る限り眼鏡ノ奥山の特徴を書いてみます。
量産品の素材によくある「アセテート」比べて、硬さが違います。
素材は「セルロイド」を使用しているので、手触りは硬いです。
程よい弾力も兼ね備えているので、
テンプルに芯を入れる必要が無いので、「光沢を楽しめます」

アセテートは硬さと弾力が足りないので、金属芯を入れて歪まないよう補強します。
それが故に合成樹脂の光沢感の邪魔をします。

セルロイドの場合は硬さと弾力があり金属芯を入れる必要がないので、
合成樹脂本来の光沢感が活かされます。(ノ-芯製法と業界では言われます。)
長期間の使用に耐える「カシメ蝶番」を採用
セルロイドもアセテートも「植物を原材料とした合成樹脂」です。
金属のような硬さがないので、温度や湿度による素材の収縮が顕著です。
量産品で採用される「埋め込み蝶番」ですと、合成樹脂に金属を
埋め込むだけなので、経年劣化による収縮の影響で金具がグラグラしてきます。
一度グラグラすると修理ができない状態となり、「お別れ」となります。

埋め込み蝶番は埋めているので、経年劣化による生地の収縮でグラグラする。

カシメ蝶番は生地に穴を開け金属芯を差込み、叩き潰して「金属で固定」するため、
経年劣化の生地の収縮によるグラグラがほぼ発生しません。
グラグラした場合は、再度叩き潰した金属部を潰すことで復活します。
お陰様で、私共の眼鏡はリピートのお客さまがとても多く、
先に制作した眼鏡を、オーバーホールしつつ別のデザインの眼鏡を新調されるお客さまもいらっしゃるので、長期間の使用に耐える構造を採用しております。
板から切り出しているからこそ「板感」を大事にする
メガネの仕上げ方についても、こだわりがあります。
工場での量産の場合は一気に複数の眼鏡を磨き上げたいので、
機械で研磨して、仕上げは職人による手動研磨の流れが多いです。
機械研磨は24時間、2~3日連続で機械に入れて研磨をし続けるので、
板から切り落としたのにキャスト(鋳造)で作ったかのように全体が
角落ちし過ぎて、「ユルい雰囲気」になります。
板を切り落としてメガネを制作しているので、うちの工房では
機械研磨機は採用せず、1本ずつ最初から手磨きで仕上げております。
板感を大事にすることで、シャープでクールな雰囲気になります。

機械研磨品は全体的に丸みのある雰囲気に仕上がります。

最初から職人による手磨きの場合は、板感が残せシャープな雰囲気になります。
雑貨屋さんで売られている、表面をコーティングしたようなフレームは作りません。
先日、香港から雑誌の取材で制作工房に来訪された記者の方が、
「とても光沢があるけど、何か薬品を表面に塗っているのか?」
との御質問をいただきましたので、実際に研磨している現場を見てもらいました。

仕上げバフ作業中です。
うちはやらないのですが、
量産品の工場によっては、セルロイドの表面に「アセトンの蒸気」を当てて
光沢を出すところもあります。
正確に言えば「アセトンの蒸気を当てて、表面を溶かして光沢を出している」になるので、アセトンが数年の時間をかけて表面から、徐々に内部に浸透していき、
「折れ」の原因になるのではないかと考え、うちの工房では
アセトンは使用しない、完全手磨き仕上げの「生肌」でお届けしております。

このような、内容で1品ずつ仕上げているため、
量販店や雑貨屋さんで買う眼鏡とは、装着した時の重厚感と装着感が違います。
だが結局、このように言葉にしてみても触ってもらったほうが
確実に分かってもらえるというオチ・・。
備忘録として書いたことにします。(笑)